学ぼう! にほんご
第32課 東京でも野菜を作れないことはないんですよ。
タイは、米を中心に,世界で最も農業の盛んな国の一つである。タイの人口は日本の半分なのに、農業人口は日本の7倍もいる。また、国土は日本の2倍程度だが、畑や田んぼは日本の4倍もある。今そのタイでは、世界中にタイ料理の店を作って、食料品の輸出をどんどん増やそうという『キッチン オブ ザ ワールド計画』が進められているそうだ。そんなタイから留学してきた友人が、『東京には畑が無ないから,野菜が作れないでしょう。畑がないというよりも、畑を作る土地がないと言ったほうがいいですね。』と言った。そこで、私が『いや、タイほどではないけれど、東京でも野菜を作れないことはないんですよ。』と答えると、彼は『本当ですか?信じられません。』と驚いた。 東京の面積は、日本で三番目に小さい。この小さな都市には、1200万を超える人が住んでいて、ビルやマンションなどの大きな建物がたくさんある。そして、毎日何百万人という人が利用する大きな駅がいくつもあって、その駅からは、線路がどこまでも伸びている。これでは、畑どころではない。外国人でなくても、そう思っている人は大勢いるはずだ。しかし、東京に畑が全くないわけではない。新宿駅からほんの西に離れると、世界中の人が持っている『TOKYO|というイメージとは違って、どこにでもあるような、ごく普通の町がある。そこには当たり前のように畑があって、野菜も作っているのだ。『こまつな』という野菜があるが、この野菜を日本で一番作っているのは、驚く事に、実は東京都なのだそうだ。 イメージの中の『TOKYO』と違い、日本人もあまり知らない本当の『東京』には、ちゃんと畑があって、野菜が作られているのである。